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2011.3.11~2011.3.25

「会社で作った最後のバッグたちは、自分企画の型でした。



先日会社の同僚との話の中で、色々とバッグ職人について熱く語り合ったことをきっかけに、思ったことがありました。



「良い職人」とはなんぞや。


ちょっと極端な例ではありますが、たとえば同じものを何十本、何百本作っても全てが同じクオリティ、革漉きの加減も全て統一されていて、ミシンで縫っている場合はその糸の糸調子、ピッチもきっちり安定してまっすぐ縫えているのは勿論、スタートと終りの位置が全てにおいて全く同じ位置になっている、そういうことが出来る。それはどんな性質の革であろうと自分のその姿勢はけして崩さず、例えばそれが違う革で作ることになった時、そのミシンのかけ方、作り方が必ずしもその革の雰囲気に合わなかったとしても、今までやってきたやり方でもってとにかくブレずに縫い上げる。見た目は相変わらずキレイに出来ている、しかしなんとなく全体の雰囲気がアンバランス。

この革で、こういう雰囲気のバッグを作るには最高の技術をもっているが、それ以外のものは作れない。でもしかし、この道何十年、「この道だけ」何十年のひとは、やはり世間では「職人」と称されるのだろう。


では、私はそういう「職人」になりたいか。


答えは「いいえ」。


それこそ何年も前、まだバッグ作りの技術を覚える前は安易に「バッグ職人になりたい」とぼんやり考えていました。
しかし実際にメーカーに入り、このバッグ業界の現状を目の当たりにしてからは、それまで自分の中で定義付けていた「職人」のイメージと、実際この業界で呼ばれている「職人」という人たちとの間にはかなりのギャップを感じるようになりました。


自分もメーカーに入り、生産も実際にやっているので周りから「職人」などと呼ばれることも多くなりましたが、そうして改めて私が目指しているなりたいこれからの自分はやはり、「いちバッグ作り」になること、ただそれだけなんだと。「職人」と呼ばれることでは決してないんだと。


職人、などというとその言葉の響きからイメージする像は、どうも私が目指しているものではないような気がしてならないのです。


自分が良いと思う革を見つけ、その革を最大限に生かしたデザインで。長く使っていても飽きが来ない、やがてはその使う人のパートナーともいうべき存在にまでなっていくことの出来るチカラを持ったバッグ。


そういうモノを出来るだけ作っていければなぁ、と。


改めてあの頃思っていたようなバッグ職人になりたいとは今は思わなくなりました。

あなたにとって「良いバッグ」を作ることの出来る人になりたい。

そのためにはまだまだ日々精進しなくては。いつ何時ミシンかけても常にぶれないピッチと糸調子でかけられるなんてそんな機械みたいな人間になりたくないよ~なんていうのはある意味甘えか言い訳にもなってしまいますから。

やっぱり人様からそれなりのお金を頂くには、それなりの技術力は絶対不可欠。自分の作品を安売りしている、技術力に自信の無いだけの自称作家気取りになるつもりはありません。

だからこそ始めにメーカーに入り、バッグ作りをゼロから学んできたのですから。

大きなことを言うからには、やはり大きな責任が付きまといます。だって文化を作りたいからね。野望は大きく。

ハッタリとも言いますが。


そんな思いを、改めて強くした昼下がりなのでした。」


…ここまでは3月11日、午前中に書いていた記事。


その後、まだまとめることが出来ずに保存していたら、直後あの地震が。

そうして時は経ち、滞りなく会社を離れる日がやってきました。

本社の人たち、直営店のスタッフにとっては特に皆今は本当に辛い時。でも今回に限っては決して言い訳とは言い切れない「しょうがない」という思いで、必死に耐えているのを目の当たりにするととにかくやりきれません。あの地震以来、私も何を失った訳でもないのに、自分の仕事の意味、これから続けて行く意味をまるで失ってしまったような感覚に陥り、その事がもしかしたら一番辛かったのかもしれません。

地震による大規模な津波の被害、原発の事故、度重なる余震など、次から次へと生活や自分たちの命が脅かされる事への不安、この国への不信感、薄れていきそうな誇り。
でも日々の生活は容赦なくやってきて、それらの大きな不安から逃れるかのように目の前の事をこなしていくのでいっぱいいっぱいになっている。


しかし、今こそはきっとそれではいけないと思うのです。極限状態になった時、自分はどう動くべきなのかをちゃんとシミュレーションして、その覚悟を決めた上で、時間が無い事を言い訳にせずに現状把握をする努力を怠らない事。

それぞれいくつかある必須事項を、別々に同時進行させなければいけない時なんだと思います。

愛する人がいて、新しい命を授かりたいと思っている。これからに目を向けていくなら、今あるこの問題を傍観するなどできる訳がありません。

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ami et soi

Author:ami et soi
小さい頃からバッグが大好きで、とうとう自分でも作るようになってしまいました。

 でも今は、バッグ作りを通して伝えたいことがあります。
 いろいろな想いを、ここに綴っていこうと。

ami et soi  「ともだちとわたし」
並べかえると、わたしのなまえ。

☆作品をちょこちょこ作っていますので「カテゴリ」の「ami et soiの作品」のエントリをご覧くださいませ。オーダーもやります。作品の色違い等も受けられます。

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